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2022年の少年法改正で生まれた「特定少年」(18・19歳)。少年とも成人とも違う"中間"の立場を、図と表で整理する。旭川・江別・上三川――最近の事件にも、この線引きが効いている
17歳と18歳で、こんなに違う――「特定少年」って何が特別なのか
2026年5月27日
2022年4月、少年法が改正され「特定少年」(犯行時18・19歳)という新しい区分ができた。少年法の保護は受けつつも、重い事件では成人とほぼ同じ刑を科せる――その"中間"の立場を、少年(17歳以下)・成人(20歳以上)と並べて、図と比較表でわかりやすく整理する。旭川・江別・上三川という最近の事件でも、この年齢の線引きが量刑を大きく左右している。
📚 いまさら聞けない法律のしくみ
17歳と18歳で、こんなに違う――「特定少年」って何が特別なのか
少年・特定少年・成人。3つの立場を、図と表で3分で整理
最終更新:2026年5月27日
📌 1分でわかるトピック概要
2022年4月、少年法が改正され、犯行時18・19歳を「特定少年」と呼ぶことになった。彼らは少年法の対象でありながら、重い事件では成人とほぼ同じ刑を科せる――いわば"半分大人"の立場だ。17歳以下の少年なら死刑にはできず、無期も軽くされうるが、特定少年は死刑・無期も科せる。最近の旭川(共犯は当時19歳の特定少年)・江別(18歳の特定少年と16歳の少年)・上三川(16歳の少年)――いずれもこの年齢の線引きが量刑を左右している。
📑 この記事で整理すること
- 結論:年齢で3つに分かれる
- 何がどう違う?早わかり比較表
- よく出る3つの言葉(逆送・推知報道・不定期刑)
- なぜ「特定少年」が生まれたのか
- 最近の事件で見る、年齢の線引き
- 賛否――2つの立場/みんなで考えたいこと
🎂 結論:年齢で「3つ」に分かれる
まず全体像です。日本の刑事のしくみは、犯行時の年齢で大きく3つに分かれます。
ポイントは、「18歳」と「20歳」という2本の線です。18歳になると「特定少年」として一部が大人に近づき、20歳でようやく完全な「成人」になります。17歳と18歳のあいだに、大きな段差があるのです。
📊 何がどう違う?早わかり比較表
3つの立場を、刑事のうえで重要な項目ごとに並べてみます。
| 項目 | 少年(〜17歳) | 特定少年(18・19歳) | 成人(20歳〜) |
|---|---|---|---|
| 死刑 | ✕(無期に緩和) | ○ 科せる | ○ 科せる |
| 無期 | △ 10〜20年に緩和も | ○(緩和なし) | ○ |
| 有期刑の形 | 不定期刑(幅をもたせる) | 定期刑(成人と同じ) | 定期刑 |
| 原則逆送の対象 | 16歳以上+故意の致死罪 | 拡大(短期1年以上の罪も) | ―(最初から刑事) |
| 実名・推知報道 | 禁止 | 起訴で解禁されうる | 可 |
| 家庭裁判所へ | 全件送致 | 全件送致 | なし |
| 基本のねらい | 保護・更生を優先 | 保護の枠は維持+責任も重く | 通常の刑事責任 |
※ 死刑・無期の緩和は少年法51条、不定期刑は52条、特定少年への特例不適用は67条による。実際の運用は事件ごとに異なる。
いちばん大きいのはいちばん上の段です。17歳以下なら、どんなに重い事件でも死刑にはできません(無期に緩和されます)。ところが18歳の「特定少年」になると、死刑も無期も、成人と同じように科せるようになります。たった1歳の差で、刑の「天井」がここまで変わるのです。
💡 よく出る3つの言葉
少年事件は、いったん全部が家庭裁判所に送られます。そのうち重大な事件を、家裁が「これは大人と同じ刑事裁判で裁くべきだ」と判断して検察官に送り返すことを逆送といいます。逆送されて起訴されると、裁判員裁判などで刑罰(懲役・拘禁刑など)が科されます。特定少年は、この逆送の対象がぐっと広がりました。
名前や顔写真など、「誰のことか分かってしまう」報道のこと。少年を守るため、原則として禁止されています(少年法61条)。ただし特定少年は、起訴された段階で、この禁止が一部解除されうる=実名報道がありうる、という特例ができました。
「懲役○年」と一つに決めず、「○年以上○年以下」と幅をもたせて言い渡す刑。立ち直りの様子を見て出所時期を調整できるようにする、少年向けのしくみです。特定少年にはこれが使われず、成人と同じ定期刑になります。
🧑 なぜ「特定少年」が生まれたのか
きっかけは、2022年4月に民法の「成年」が20歳から18歳に引き下げられたことです。18歳から一人で契約ができ、「大人」として扱われる場面が増えました。
そこで、「では刑事の世界でも18・19歳をどう扱うか」が議論になりました。結論は、少年法の対象には残す(全件を家裁に送り、立ち直りも図る)。でも、重い事件では大人に近い責任を負わせる――という"折衷"でした。こうして生まれたのが「特定少年」です。完全な大人でも、従来の少年でもない、中間の区分といえます。
🔦 最近の事件で見る、年齢の線引き
抽象的な制度も、実際の事件に当てはめると一気に見えてきます。最近の3件は、まさに「年齢の段差」が量刑を左右しています。
「少年」が関わる事件はよく報じられますが、16歳・17歳は『特定少年』ではありません。特定少年は18歳・19歳に限った呼び名です。上三川の16歳実行役は「少年」、江別の18歳は「特定少年」――同じ"未成年"でも扱いが違う点に注意しましょう。
⚰️ 「特定少年 初の死刑」――甲府の事件
特定少年の重さを最もはっきり示したのが、甲府市の夫婦殺害・放火事件です。犯行時19歳(特定少年)だった被告は、思いを寄せた女性の両親を殺害し、住宅に放火したとして、2024年に裁判員裁判で死刑判決を受け、控訴を取り下げて死刑が確定しました。これは特定少年として初めての死刑確定で、起訴後に実名も公表されました。従来の少年法なら「死刑→無期に緩和」だった年齢でも、特定少年では死刑があり得る――それを現実に示した事件です。
🤔 賛否――2つの立場
18・19歳をどこまで「大人扱い」すべきか。意見は分かれています。
🔥 責任は大人並みに
18歳で選挙権も契約もできる以上、刑事責任も大人に近づけるのは当然。重大事件では実名も公表し、被害者・社会への説明責任を果たすべきだ。むしろ16・17歳の重大事件まで対象を広げるべきだという声もある。
⚖️ 立ち直りを優先に
10代はまだ発達の途上で、環境に流されやすく、やり直す力も大きい。実名公表は更生や社会復帰の妨げになりかねない。厳罰化だけでなく、なぜ罪を犯したのかに向き合い、再犯を防ぐ支援にこそ力を入れるべきだ。
「特定少年」は、少年の保護と大人としての責任のあいだで生まれた、新しい中間の区分です。死刑・無期・実名――重い場面では成人に近づき、それでも全件が家裁を通り、更生の枠組みは残る。18歳・19歳を、どこまで「大人」として扱うのが妥当なのか。事件のニュースを見るときは、加害者が「少年」「特定少年」「成人」のどれなのかに注目すると、量刑の意味がぐっと分かりやすくなります。
💬 みんなで考えたいこと
- 17歳と18歳で「死刑にできるかどうか」が変わるのは、妥当な線引きか
- 特定少年の実名報道は、どんな場合に認めるべきか(更生とのバランス)
- 逆送の対象を、16・17歳の重大事件にもっと広げるべきか
📌 この問題に関連する改正案
📚 出典・参考
- 法務省|「少年法が変わります!」(2022年4月施行の改正少年法/特定少年の特例)
- 少年法 第51条(死刑・無期の緩和)・第52条(不定期刑)・第61条(推知報道の禁止)・第67条(特定少年の特例)
- 日本経済新聞|「『特定少年』初の死刑確定 甲府夫婦殺害 被告が控訴取り下げ 当時19歳、起訴後に実名公表」(2024年)
- 各種報道|旭川つり橋転落死事件・江別大学生集団暴行死事件・栃木上三川強盗殺人事件(2024〜2026年)
※ 制度の説明は一般的な解説であり、個別事件の処分・量刑は事案ごとに異なります。公判中の事件については無罪が推定されます。
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