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チャットで性犯罪や動物虐待を語り合い「賞賛」し合う——その時点で「害」はないのか?

犯罪の話をしているだけなら罪にならない?──ネットでの「犯罪肯定・助長」を考える

2026年6月16日

チャットやSNSで犯罪の話をし、肯定し、賞賛し合う——それ自体は罪に問えるのか。日本では「話すだけ」は原則として処罰されない一方、共謀・教唆・幇助や児童ポルノの共有などになれば重く処罰される。実際に「賞賛を得たくて」犯行を重ねた事件もある。どこからが罪なのか、ネットでの犯罪肯定・助長をどう扱うべきかを整理する。

📑 この記事で整理すること

  1. 「話すだけ」はなぜ原則として罰せられないのか
  2. どこからが罪になるのか(教唆・幇助・共謀・画像共有)
  3. 「賞賛し合う場」が犯行を後押しした実際の事件
  4. ネットでの犯罪肯定・助長は「害悪」か(賛否)
  5. 海外ではどう扱われているか

🗣️ 「話すだけ」はなぜ原則として罰せられないのか

「性犯罪をしてみたい」「動物を虐待した」とチャットで語る人がいたとして、その発言そのものは、日本では原則として処罰できません。理由は、内心の自由・表現の自由が憲法で強く守られているからです。日本には「犯罪を賛美・肯定しただけで罰する」という一般的な処罰規定はありません。

「本当にやったのか、ただの作り話か分からない」発言を、片っぱしから罪に問えば、冤罪や言論の萎縮を招きかねません。だからこそ、刑法は「具体的な行為」に踏み込んだものだけを処罰の対象にしています。

💡 用語解説:内心は罰しない(行為主義)
刑法は「何を思ったか」ではなく「何をしたか」を罰するのが原則です(行為主義)。だから、犯罪を頭の中で肯定する・言葉にするだけでは、原則として犯罪になりません。処罰されるのは、そこから一歩進んで、現実の犯罪に結びつく具体的な行為に出たときです。

🚧 どこからが罪になるのか

では、「話す」が「罪」に変わるのはどこからか。主に次の場合です。

何をしたかどうなるか
そそのかす(教唆)人に犯罪を決意させれば、実行犯と同じ刑で処罰されうる(刑法61条)
手助けする(幇助)方法を教える・道具を渡すなどで犯行を助ければ処罰(刑法62条)
一緒に計画する(共謀)実際に手を下さなくても、共謀共同正犯として実行犯と同等に問われうる
児童ポルノ・残虐画像の共有提供・公然陳列などはそれ自体が犯罪(児童ポルノ禁止法・わいせつ物頒布罪など)
脅迫・名誉毀損・面会要求(グルーミング)相手や対象が特定されれば、各罪で処罰されうる

つまり、「犯罪の話」が現実の犯罪を生む・助ける・一緒に行う段階に入れば、もう「話していただけ」では済みません。とりわけ画像のやりとりは、それ自体が独立した犯罪になりやすい領域です。

💥 「賞賛し合う場」が犯行を後押しした事件

「ネットで肯定・賞賛し合うこと」が、現実の犯行を加速させた例があります。ある裁判では、39歳の無職の男が、当時7歳の実の娘に性的虐待を加えたうえ、その様子を撮影してグループチャットで共有するなどした罪に問われ、起訴内容を認めました。

名古屋地裁一宮支部の裁判長は、男が「娘を性的欲求のはけ口とし、チャットグループの参加者から賞賛を得ることで承認欲求を満たしていた」と指摘。被害者が「おそらく被告による口止めも影響し、母親を含む周囲にかたくなに被害を語ろうとせず、精神的負担は想像するにあまりある」と述べ、こうした行為を娘の入学前から繰り返していたとして、懲役8年6か月を言い渡しました。

⚠️ ここがポイント
この事件では、加害者は実際の性的虐待と画像共有という具体的な犯罪行為に及んでおり、重く処罰されました。一方で、「賞賛を与えた側」「チャットで肯定していただけの参加者」は、画像を受け取った・拡散したといった具体的行為がなければ、処罰しにくいのが現状です。"場の空気"が犯行を後押ししたのに、その空気を作った人たちの責任は問いにくい——ここに制度の「穴」があります。

🤔 ネットでの犯罪肯定・助長は「害悪」か(賛否)

「賞賛・肯定し合うだけ」を処罰の対象にすべきか。意見は鋭く割れます。

🚫 規制を強めるべき側

賞賛・肯定の場は犯行を正当化し、後押しする。承認欲求を満たすために犯罪がエスカレートする実例もある。少なくとも児童虐待や残虐行為を賞賛・あおる行為は規制すべきだ。

🗽 慎重であるべき側

「肯定した」「賞賛した」を罰し始めると、表現の自由を大きく損ない、冤罪や言論萎縮を招く。線引きがあいまいなまま処罰を広げるのは危険だ。具体的な加担行為に絞るべき。

難しいのは、「害悪はあるが、処罰の線引きが難しい」という点です。賞賛が犯行を後押しするのは確かでも、どこからを犯罪とするか・どう立証するかは簡単ではありません。だからこそ「ネットでの犯罪肯定・助長」をどう扱うかは、新しい立法(改正案)の論点になっています。

🌍 海外ではどう扱われている?

扱い(とされる)
🔍 ドイツ特定の犯罪を公然と是認・賞賛する行為や、民衆扇動を処罰する規定がある
🔍 フランステロなど重大犯罪の称賛・扇動を独立の罪として処罰
🔍 イギリステロの奨励や、児童性虐待の助長につながる通信を規制
🔍 日本犯罪の称賛・肯定一般を罰する規定はない。教唆・幇助・共謀や画像共有など具体的行為で対応

欧州には、重大犯罪の称賛・扇動を独立の罪とする国があります。ただしこれらは表現の自由との緊張が常に問われ、適用範囲は慎重に設計されています。日本が同じ方向に進むなら、「どの犯罪の、どんな賞賛・あおりを、どこまで罰するか」を丁寧に詰める必要があります。

つまり
日本では「犯罪の話・肯定」そのものは原則罰せられず、教唆・幇助・共謀や画像共有など具体的行為に出て初めて罪になる。だが、賞賛し合う"場"が犯行を後押しした実例もあり、「害悪はあるのに罰しにくい」というジレンマが残る。表現の自由を守りつつ、ネットでの犯罪助長をどこまで規制すべきか——立法で向き合うべき論点です。

💬 みんなで考えたいこと

  • ネットで犯罪を「賞賛・肯定」する行為に、害悪はあると思うか
  • 表現の自由を守りつつ、犯罪の助長をどこまで規制できるか
  • 児童虐待や残虐行為の賞賛・あおりは、独立の罪にすべきか
国民からの改正案 1タップ・登録不要

インターネットで犯罪を積極的に肯定・周知した場合の加重

SNS等で犯罪を称賛・拡散する行為があった場合、本来の法定刑の1.5倍を上限とする量刑加重制度を導入する

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出典・参考:公開されている法令、裁判例、報道資料、各国制度の公表資料をもとに編集しています。

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