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独身偽装の“役所版”。自分の戸籍でも「偽造」になり、しかも実は重い。有印公文書偽造という罪の重さ

「独身偽装」の“役所版”──自分の戸籍を偽造したら何罪?「離婚を装う」公文書偽造という重い罪

2026年6月26日

「離婚したことにしたい」——その思いから、勤務先の市役所で自分の戸籍謄本を偽造し、知人に渡したとされる元市職員の事案が報じられた。意外に思われがちだが、たとえ自分の戸籍でも、作成権限のない者が偽れば「偽造」であり、しかも有印公文書偽造罪(1年以上10年以下の懲役)という重い罪にあたり得る。なぜ私文書より重いのか、独身・離婚偽装はどこからが犯罪になるのか。公文書を偽る行為の重さを、噛み砕いて整理する。

📌 1分でわかるトピック概要
「離婚したことにしたい」——その思いから、勤務先の市役所で自分の戸籍謄本を偽造し、知人に渡したとされる元市職員の事案が報じられた。意外に思われがちだが、たとえ自分の戸籍でも、作成権限のない者が偽れば「偽造」であり、しかも有印公文書偽造罪(1年以上10年以下の懲役)という重い罪にあたり得る。なぜ私文書より重いのか、独身・離婚偽装はどこからが犯罪になるのか。公文書を偽る行為の重さを、噛み砕いて整理する。

📑 この記事で整理すること

  1. 何が起きたのか(自分の戸籍を偽造したとされる市職員の事案)
  2. 「自分の戸籍」でも偽造になるのはなぜか
  3. 有印公文書偽造はどのくらい重い罪なのか(私文書との違い)
  4. 「独身・離婚を装う」のは、どこからが犯罪になるのか
  5. 身分や公文書を偽る行為を、どう罰すべきか(賛否)

🗣️ 何が起きたのか

報道によると、富山県射水市の元市職員の男性が、勤務先の市役所で自分の戸籍謄本などを偽造し、知人に手渡したとされます。市役所内にある偽造防止用紙を持ち出し、日常の業務で使うノートパソコンなどを使って作成したと報じられました。市は有印公文書偽造および同行使にあたるとして警察に告発し、この職員を懲戒免職に。本人は事実をおおむね認めているとされ、書類送検されたと伝えられています。動機については、「離婚したことにする(離婚を装う)ため」と報じられています。

「自分の戸籍を、自分でいじっただけ」——そう聞くと軽い話に思えるかもしれません。ですが、これは法律上、かなり重い罪にあたり得ます。なぜでしょうか。

項目内容(報道による)
誰が富山県射水市の元市職員の男性
何をした市役所の偽造防止用紙・業務用PCを使い、自分の戸籍謄本などを偽造し知人へ手渡したとされる
動機(報道)離婚を装うため
問われ得る罪名有印公文書偽造罪・同行使罪(刑法155条・158条)
処分・手続市が告発、懲戒免職、書類送検(本稿執筆時点で判決・量刑は確認できていない)

⚖️ 「自分の戸籍」でも偽造になるのはなぜか

「自分に関する書類なら、いじっても自由では?」と思うかもしれません。しかし戸籍謄本は、本人のものであっても市区町村(役所)が作成・発行する公文書です。中身を作る権限は役所にあり、本人にはありません

💡 用語解説:「偽造」とは
ここでいう偽造は、作成する権限のない人が、その文書を勝手に作り出すことを指します。だから、たとえ自分に関する戸籍であっても、役所の職員という立場と関係なく勝手に作れば「偽造」です。記載が事実かどうか以前に、「権限のない者が公文書を作った」こと自体が罪に問われます。

さらに本件では、偽造した戸籍謄本を知人に手渡したとされます。偽造した公文書を本物として使う・他人に渡すことは、別に「同行使罪」として問われます。「作ること」と「使うこと」の両方が、それぞれ罪になるわけです。

🧮 有印公文書偽造は、どのくらい重い罪なのか

文書の偽造は、対象が公文書か私文書かで刑の重さが大きく変わります。戸籍謄本のように、役所など公の機関が作る文書を偽ると、刑は一段と重くなります。

罪名法定刑
有印公文書偽造罪(刑法155条1項)
役所などの公文書を、印章・署名を使って偽造
1年以上10年以下の拘禁刑
偽造公文書行使罪(刑法158条)
偽造した公文書を本物として使う・渡す
偽造と同じ(1年以上10年以下の拘禁刑)
(参考)有印私文書偽造罪(刑法159条1項)
契約書など私人の文書を偽造
3月以上5年以下の拘禁刑

注目したいのは、有印公文書偽造の刑が「1年以上」10年以下の拘禁刑と、下限が定められている点です。私文書偽造(3月以上)より、出発点からして重い。これは、戸籍・住民票・免許証といった公文書が「正しいに決まっている」という社会全体の信頼を守るためです。その信頼が崩れると、本人確認も契約も行政も成り立たなくなる——だから公文書を偽る行為は重く罰せられます。

⚠️ 公務員が職場で偽造すると、さらに悪質に評価され得る
本件は、市職員が職場の用紙やパソコンという「公の立場・設備」を使って偽造したとされる点が特徴です。職務上の信頼を逆手に取った行為として、量刑では悪質さが重く見られやすい一方、前科の有無や反省、被害の広がりなど個別事情も考慮されます。

🧩 「独身・離婚を装う」のは、どこからが犯罪になるのか

この事案は、当サイトで追っている「独身偽装」クラスタの“役所版”ともいえます。整理すると、こういうことです。

  • 口先で「独身だ」「もう離婚した」と嘘をつくだけでは、それ自体はただちに犯罪にはなりにくい(民事の慰謝料の問題になり得る)。
  • その嘘を信じさせて金銭をだまし取れば「詐欺罪」になり得る。
  • 嘘を裏づけるために公文書(戸籍など)を偽造すれば「公文書偽造罪」という、さらに重い別の罪になる。

つまり、「独身・離婚を装う」行為は、どんな手段を使ったかで罪の重さが一気に変わります。気持ちの問題で済む段階から、公文書に手を出した瞬間に、1年以上の拘禁刑という重い刑の世界に踏み込むことになります。

🔎 あわせて読みたい

🤔 身分や公文書を偽る行為を、どう罰すべきか(賛否)

⚖️ 厳しく罰すべき側

戸籍や住民票は社会の土台となる信頼。まして役所の職員が職場の設備で偽造したなら、信頼への裏切りは大きい。離婚を装う身勝手な動機での偽造も含め、公文書を偽る行為は厳しく罰すべきだ。

🌱 事情も見るべき側

結果として誰かに大きな金銭被害が出たわけではないケースもある。動機の背景(家庭の事情)や反省、初犯かどうかを踏まえ、一律に重い実刑とするのではなく、執行猶予も含め個別に判断すべき場合もある。

つまり
戸籍謄本は本人のものでも役所が作る公文書。作成権限のない人が勝手に作れば、たとえ自分の戸籍でも有印公文書偽造罪(1年以上10年以下の懲役)という重い罪にあたり得ます。私文書偽造より下限が重いのは、公文書への社会の信頼を守るため。「独身・離婚を装う」行為も、嘘だけなら罪になりにくいが、公文書に手を出した瞬間に一気に重くなる——本件はその境目を示す事案です。

💬 みんなで考えたいこと

  • 「自分の戸籍」でも勝手に作れば偽造、という線引きは妥当だと思うか
  • 公務員が職場の設備で偽造した点を、量刑でどこまで重く見るべきか
  • 「独身・離婚を装う」行為は、どんな手段からを犯罪として扱うべきか

📚 出典・参考

  • 各種報道|射水市職員による戸籍謄本の偽造をめぐる報道(北日本放送・北陸中日新聞ほか)
  • 刑法155条(公文書偽造)・158条(偽造公文書行使)・159条(私文書偽造)

※ 本稿は報道に基づき、公文書偽造という論点を教育・議論のために整理したものです。当事者の実名は記載せず、特定個人の有罪・無罪や刑を断定するものではありません。確定した判決が確認できしだい、内容を更新します。

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出典・参考:公開されている法令、裁判例、報道資料、各国制度の公表資料をもとに編集しています。

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